水城冴子

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第2章

ガラスの仮面SS【梅静036】 第2章 縮まらない距離 (16) 1984年冬

「源造、今日は疲れたわ。こんな贅沢な部屋、甘えてしまっていると思ったけれども、今日はここで良かったわ。」 「はい。奥さま。ゆっくりとお休みくださいませ。今日は、まさかの速水会長とのお顔合わせでお疲れになったでしょう。お食事はどうなさ...
第2章

ガラスの仮面SS【梅静035】 第2章 縮まらない距離 (15) 1984年冬

「一蓮が書きたかったことを書ける人を育てたいのです。一蓮の想いはもう誰も知ることはありませんが、紅天女を学んでもらって、そこから新たな話を書ける人物を育成したい。そして、それを演じる役者も育てたい。姫川亜弓と北島マヤにも力は借りますが、そ...
第2章

ガラスの仮面SS【梅静034】 第2章 縮まらない距離 (14) 1984年冬

「本当によろしいのですね。御身体に障りませんね。」 真澄が千草に念を押した。 「痛み入りますわ。真澄さん。でも、避けては通れませんから。時間が許すならばこのまま。今日このまま。理事長もご一緒くださると。」 「わかりました...
第2章

ガラスの仮面SS【梅静033】 第2章 縮まらない距離 (13) 1984年冬

「謝るって?」 目の前に置かれたかわいらしいケーキを口に運ぼうとしたマヤの手が止まった。 「ええ。マヤさん、沖縄に行ってらしたんでしょう。わたくし、マヤさんが沖縄に行かれる前からそのことを知っていたの。お互い、あのひと月は、ど...
第2章

ガラスの仮面SS【梅静032】 第2章 縮まらない距離 (12) 1984年冬

「桜小路、お前、結構飲めるんだろ?時間早いけれど、どうだ?一杯ひっかけていかないか?明日からはまた緊張の日々になるだろうしな。」 「黒沼さん。ははは。黒沼さんほどは飲めませんけれど、僕も飲みますよ。行きましょう。」 「よし、じ...
第2章

ガラスの仮面SS【梅静031】 第2章 縮まらない距離 (11) 1984年冬

難しい話もあり、はっきりと頭の整理ができていないこともあってか、話が終わったあとのマヤはぼーっとしていた。とにかく、試演で悔いのない演技をすることだけを考えるほかないということはわかっているのだけれど、それ以外のスケジュールやその先のこと...
第2章

ガラスの仮面SS【梅静030】 第2章 縮まらない距離 (10) 1984年冬

会見の後、小野寺、赤目、亜弓、黒沼、桜小路、マヤは別室に残った。山岸理事長、千草から話があるということだった。 「こんなきれいな場所で演じることができるなら、シアターXよりも安全で気分も良いな。紆余曲折あっても、もうすぐ決まるってこ...
第2章

ガラスの仮面SS【梅静029】 第2章 縮まらない距離 (9) 1984年冬

千草は続ける。 「名称は仮称ですわ。おいそれと決めることではありませんしね。まず、初代の協会長はわたくしが拝命いたします。そして、理事として、二人、候補者の二人は入っていただきます。さらにこちらの山岸理事長。ここまでの人選はできてお...
第2章

ガラスの仮面SS【梅静028】 第2章 縮まらない距離 (8) 1984年冬

「おお~。立派なもんだな。大したもんだ。大都ってところはほんと金があるんだな。これをひと月で建てちゃったのか。あの若社長さんもやるもんだな。」 黒沼は迎えの車から降りて、ダイト・オーシャン・シアターを目の前にして、ことのほか大きな声...
第2章

ガラスの仮面SS【梅静027】 第2章 縮まらない距離 (7) 1984年冬

翌朝は疲れが出たのか、あるいは、アパートに戻り緊張感が解けたのか、目が覚めて起き上がる時にふっとめまいがした。「慣れないことが続いて、たぶん、ちょっと疲れちゃったかな。やっぱりうちはほっとする…。でも、今までこんなことなかったのに…。」と...
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